がんゲノム医療とがん遺伝子パネル検査

1. がんゲノム医療/がん遺伝子パネル検査とは

「がんゲノム医療」とは、「がん遺伝子パネル検査」とその結果に基づいた医療のことを言います。
がん遺伝子パネル検査は、次世代シークエンサーを用いて、がん組織もしくは血液中の多数のがん関連遺伝子を同時に調べる(解析する)ことで、どの遺伝子に変化が起こっているかを確認します。検査結果から、がんの性質やどのような治療が適しているかなどを、専門家集団の会議(エキスパートパネル)で検討し、主に分子標的薬の治療につなげる事を目的とした検査です。

当院は、2023年8月より厚生労働省から『がんゲノム医療連携病院』に認定され、がんゲノム医療中核拠点病院である慶應義塾大学病院と連携して、2023年9月より保険収載された「がん遺伝子パネル検査外来」を開始しました。がんゲノム医療やパネル検査について詳しく知りたい方は、国立がん研究センターがんゲノム情報管理センターのホームページや国立がん研究センターがん情報サービスのホームページをご参照ください。
国立がん研究センターがんゲノム情報管理センター
国立がん研究センターがん情報サービス

【がん遺伝子パネル検査の留意点】

本検査を受けた患者の中で治療薬の投与につながった割合は、保険承認後の調査結果で約8%と報告されています。有効な情報が得られない可能性も十分にあることをご理解ください。また、検査を受けた方の3〜5%程度で、遺伝性腫瘍(生まれつきがんになりやすい体質)の疑いがわかる可能性があります。がん遺伝子パネル検査によって二次的に遺伝性腫瘍の遺伝子が見つかった場合、遺伝カウンセリングを受けることもできます。
遺伝性腫瘍について、詳しく知りたい方は、がんゲノム情報管理センターのホームページをご参照ください。
がんゲノム情報管理センター

2. がん遺伝子パネル検査の対象となる患者さん

がん遺伝子パネル検査を受けることができるのは一般的には、

  • 標準治療がない固形がん(原発不明がん、希少がんなど)
  • 標準治療が終了している、もしくは標準治療が終了する見込みで、次の治療を探している固形がん

上記のいずれかに当てはまり、当院のがん遺伝子パネル検査外来で検査対象者と判断された方となります。
*白血病・悪性リンパ腫・骨髄腫など、血液がんは対象外となります。

3. 検査の種類

※保険診療外の検査は当院では行なっておりません

1) FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル(F1CDx)

がんに関連した324遺伝子について、がん組織のみで調べます。血液検査は必要ありません。
この検査の特徴は、NCCオンコパネルに比べて解析対象となる遺伝子が多いことと、TMB-highのコンパニオン診断の役割も有している事です。

2) FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイル(F1LCDx)

がんに関連した324遺伝子について、血液を用いて検査します。
この検査は、がん組織が採取できない、もしくは病理組織が3〜5年以上経過し古くなっている場合にのみ、血液で検査を行います。
*血液で得られる結果は、適応となる治療や治験の情報が少なくなる場合があります。

3) OncoGuide™️ NCCオンコパネル システム(NCCOP)

がんに関連した124遺伝子について、がん組織と血液の両方で調べます。
この検査の特徴としては、血液検査で、二次的所見 (遺伝的に生まれながらにして持つがんに関する遺伝子変化)についての遺伝子の異常がわかることがあります。

4. 検査費用について

『検査提出時』と『結果説明時』の2回に分けてお支払いいただきます。

検査の種類に関わらず56万円、負担割合は以下のとおりです。(参考値)

①『検査提出時』 440,000円(3割負担 13,2000円)

②『結果説明時』 120,000円(3割負担 36,000円)

  • 高額療養費制度の対象となります。詳細については病院の会計窓口でご相談ください。
  • 使用する検体の状態によっては検査が実施出来ない場合があります。その場合でも検査申し込み費用や検体の品質確認に要した検査費や施設利用料などの費用がかかりますので、ご了承ください。
  • 上記の①②の他に診察料(初診料、再診料)がかかります。
  • 入院中は他施設の外来受診ができないため、再度受診日の調整が必要となるので、がん相談支援センターまでご連絡ください。

5. 当院のがん遺伝子パネル検査外来について

がん遺伝子パネル検査外来は、紹介予約制となります。検査を希望される場合には、主治医と相談して下さい。受診の際には紹介状が必要となります。

名 称 沖縄県立中部病院 腫瘍内科「がん遺伝子パネル検査外来」
場所 内科外来
診療日 毎週水曜日16:00 吉田 幸生(がん薬物療法専門医)
毎週木曜日15:00 森 隆弘(がん薬物療法専門医・指導医、臨床遺伝専門医)

外来の内容

外来 内容 必須の参加者
1回目 「がん遺伝子パネル検査」に関する
説明と同意取得
患者さん本人とご家族又は
信頼できるご友人
2回目 「がん遺伝子パネル検査」の
結果の説明
患者さん本人とご家族又は
信頼できるご友人
  • 原則、本人のみでは受診できません
  • 遺伝性腫瘍の可能性がある場合は、当院のカウンセリング外来の受診を推奨します
  • 2回目の外来日は、1回目の外来日のおおよそ2ヶ月後となります

6. がん遺伝子検査外来の流れ(患者さん用)

検査希望の方へ

検査希望の方は、主治医へご相談ください。
当院で検査対象者と判断された場合、がん遺伝子パネル検査が可能です。
*入院中の患者さんは受診できません

受診1回目(がん遺伝子パネル検査外来で検査について説明)

腫瘍内科医師や看護師が、がん遺伝子パネル検査の内容や費用などの説明をします。
検査希望を伺い、同意書への署名をいただきます。

検査

組織検体で検査を提出する場合外来受診は不要です。
血液検体で検査を提出する場合採血日を予約し当院へ受診していただきます。

検査結果が判明するのは約8週間後です。

遺伝子解析を行い、解析結果をもとに、専門家によって治療法を検討します。

結果説明外来の予約

検査結果が出ましたら、担当者から2回目の受診日の連絡をします。

受診2回目(がん遺伝子パネル検査外来で結果の説明)
  • 腫瘍内科医師が、がん遺伝子パネル検査の結果、治療法の有無について説明します
  • 検査結果によりカウンセリング外来に紹介することがあります

検査結果を通院先へ送付いたします。
検査結果を踏まえ、主治医と治療の相談となります。

7. がん遺伝子パネル検査外来紹介時のご協力依頼(医療機関の方へ)

申し込み方法

作成書類下記をご準備ください

上記書類を県立中部病院 地域医療連携室へFAXでお送りください
FAX:098-982-6568

適格性判断基準下記の項目を満たす患者さんが対象となります。
  • 標準治療がないもしくは終了見込みの根治不能の固形がん
  • ECOG PS0-1
  • 見込まれる予後が3ヶ月以上
  • 経口摂取可能
  • 検査提出2ヶ月後に化学療法が継続可能な臓器機能が維持されている
  • 外来にご家族が同席可能
  • 保険診療の遺伝子パネルの提出歴がない
適格の場合

1週間以内にがん相談支援センターよりご連絡します

不適格の場合

1週間以内に地域医療連携室より不適格の理由を記載した返書をお送りします

適格の場合 資料(病理)の提供

FAXしていただくもの下記をご準備ください
郵送していただくもの下記をご準備ください
                     
  • 病理検体
    提出する際は病理検体の提出についてをご確認ください
    こちらからダウンロード

    ※事前にF1LCDxに決まっている場合は病理検体の提出は不要です

  • 病理報告書(提供していただく病理検体の報告書)

書類郵送先
〒904-2293
沖縄県うるま市字宮里281番地
沖縄県立中部病院 がん相談支援センター(がん遺伝子パネル検査外来)

※検体不足の場合は、再度ご連絡します

FAX送信先
FAX:098-982-6568(県立中部病院 地域医療連携室)

「がん遺伝子パネル検査外来」予約日のご案内

病理検体を確認後 当院の地域医療連携室より、貴院へ「がん遺伝子パネル検査外来」の予約日を案内します。
※外来予約確定票をFAXしますので、患者さんへお渡し下さいますようお願いします。

「がん遺伝子パネル検査外来」受診のご案内

当院の外来受付方法は、予約確定票をご覧ください。

〈外来受診時に持参して頂くもの〉

  • 予約確定票、中部病院診察券(当院の診察券をお持ちの方)
  • 紹介状
    *紹介状をお持ちでない場合、選定療養費7000円(税込み)を申し受けます。
  • 保険証
  • 書類
    • 適格性確認チェックリスト
    • パネル検査EP(Expert Panel)開催前検体情報
    • パネル検査EP開催前臨床情報
    • パネル検査EP開催前薬物療法詳細(レジメンすべて)
  • 家族歴問診票(事前に患者さんにお渡しして、分かる範囲で患者さんに記載していただき、外来受診日当日に持参するようお伝えください。)
    こちらからダウンロード

がん遺伝子パネル検査外来 1回目(説明と同意)

腫瘍内科担当医より、患者さんご家族へ検査の詳細を説明します。
同意を得られた場合、後日病理検体を検査に提出します。

【注意事項】

  • 外来受診時には必ず本人、ご家族合わせ2名以上の方でお越しください
  • 患者さん本人が入院中の場合、受診できません
  • 外来受診の変更がございましたら、当院がん相談支援センターへご連絡ください
  • 当院の診療待ち時間で、体調が思わしくない場合は、無理せず看護師へお知らせください
院内症例検討会(CTB: Clinical Tumor Board)開催

患者さんの受診は不要です。

CTBはがん遺伝子パネル検査の結果を踏まえて当院の腫瘍内科医、病理診断医、臨床遺伝専門医が開催する治療選択肢や遺伝性疾患の可能性についての検討会です。

※月曜日15:00より当院で開催しています。
主治医がオンラインで参加を希望する場合は、初回外来までに当院がん相談支援センターへご連絡下さい。

エキスパートパネル(EP: Expert Panel)開催

患者さんの受診は不要です。

EPはCTBの結果を踏まえて慶應義塾大学病院と連携病院が合同で行うもので、最終的な推奨治療を決める会議です。

がん遺伝子パネル検査外来 2回目(結果説明)

2回目の外来予約確定票をFAXしますので、患者さんへお渡し下さいますようお願いします。

外来で腫瘍内科担当医が、ご本人に結果説明シートを用いて検査結果をご説明します。
外来終了後、貴院へ「解析・調査結果レポート」を郵送いたします。
遺伝性腫瘍の可能性がある場合は必要性を説明した上で、カウンセリング外来を予約します。

カウンセリング外来(対象者のみ)

家系内で遺伝する病気などについて情報を提供し、遺伝子診断を行う外来です。ご本人や血縁者の方へ、病気と遺伝性の関係や、遺伝に関する検査などについて説明を行います。

診療日:毎週火曜日 午後
産科部長 大畑尚子(臨床遺伝専門医)

がん遺伝子パネル検査後の経過報告(1回のみ)

患者さんの来院は不要です。

結果説明から約3ヶ月後に、貴院へ経過報告書の提出を依頼します。
当院のホームページから下記書類をダウンロードし必要事項を記載して、がん相談支援センターへ郵送をお願いします。

お問い合わせ先

〒904-2293
沖縄県うるま市字宮里281番地
沖縄県立中部病院 がん相談支援センター
(直通)098-973-4312
(代表)098-973-4111(内線3232)
(FAX)098-982-6558(地域医療連携室)

全ての書類はこちらからダウンロード

  • 適格性確認チェックリスト
  • パネル検査EP開催前検体情報
  • パネル検査EP開催前臨床情報
  • パネル検査EP開催前薬物療法詳細
  • EP開催後薬物療法詳細
  • EP開催後転帰情報

その他

  • 「がん遺伝子パネル検査外来」予約申込書
  • 病理検体の提出について
  • 家族歴問診票
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