新生児科(NICU)

NICUとは

沖縄県立中部病院NICUの紹介

当院のNICU(新生児集中治療センター)は、1978年8月1日に開設されました。
当時、県内初、国内でも最も早期に整備されたNICUです。2001年10月には総合周産期母子医療センターとして認可され、病床数もそれまでの特定ICU8床から12床へ、後方病床(GCU)も12床から18床に増床されました。年間350~400人の入院を受け入れています。

赤ちゃんとその家族のために重要なNICUの役割について以下にまとめました。

  • 周産期医療:産科医と一緒に出生前から母体および胎児・新生児のケアをおこないます。そのため、産科医と新生児科医といった医師だけでなく、それぞれの病棟の看護師にも綿密な連携が求められます。当センターでは週1回の継続的なカンファレンスを実施しています。また、必要に応じて出生前にNICU見学や新生児科医との面談なども行っています。
  • 地域医療:沖縄県中北部地区で唯一の総合周産期母子医療センターのため、治療が必要なすべての新生児に対応します。重症心疾患などについては県立南部医療センター・こども医療センターと連携して医療を行う場合もあります。
  • 救急・集中医療:生命の危機に直面した新生児に時間の猶予はありません。24時間体制で専任の医師,看護師が対応します。人工呼吸管理をはじめ、重症呼吸不全に対する一酸化窒素(NO)吸入療法や、重症新生児仮死後の持続脳波モニタリングや脳低温療法など、最新の治療法も導入しています。
  • 育児・発達支援: 私たちは、小さく弱い命をはぐくみ、赤ちゃんが家族の一員として家族に受け入れられ、退院していただくことを目標にしています。お母様との絆を強くするため、入院中から母乳育児やカンガルーケアを積極的にすすめます。またNICU退院後も外来で発達相談、予防接種など赤ちゃんの健康を守るためのお手伝いをします。必要に応じて他科(小児科,小児外科,脳外科,眼科,耳鼻科など)や小児発達センターと連携し赤ちゃんの発育を見守ります

指.jpg

NICU入室前に

NICUへ入室の前に、感染症対策のため、手を良く洗いましょう。
時計やブレスレットなどは外して、長袖の場合は袖をまくって、肘から指先まで洗いましょう。
インフルエンザ流行時期などには、面会時のマスク着用をお願いすることがあります。
盗難防止のため、入り口のコインロッカーに貴重品を入れて施錠してください。

入院後の各種手続きについて

出生届

生後14日以内に名前を付けて、母子手帳と印鑑を持参し出生届を市役所(役場)に提出してください。

養育医療

出生体重が2000g以下の赤ちゃん、または医師の判断で適応とされた赤ちゃんが対象となります。各市町村の保健所で申請手続きを行います。

育成医療

外科手術が必要な赤ちゃんに適応されます。各市町村の保健所で申請手続きを行います。

小児慢性特定疾患医療給付制度

心疾患、呼吸器疾患など、医師が適応と判断した疾患に対し給付されます。 各市町村の保健所で申請手続きを行います。

乳幼児医療費助成

お子さんの医療費を県と市町村で助成する制度です。出生届の手続きの際に市役所(役場)で問い合わせてください。  

(各種、申請が必要な場合、医師や看護師、ケースワーカーがより詳しく説明いたします)

面会について

御両親はいつでも面会できます。
窓越し面会の時間は 午後3時から午後8時までです。

赤ちゃんが保育器からコットに出てからは、ご両親以外の方も窓越し面会ができます。

(15歳以下のお子さんの面会は控えてください)

窓越し面会1.jpg 窓越し面会2.jpg

カンガルーケアについて

小さく生まれた赤ちゃんも32週頃から、状態が安定していれば保育器から一時的に外に出して抱っこができます。

お母さん、お父さんと直接、肌と肌とのふれあい抱っこの方法で、その様子がカンガルーの親子のようなので「カンガルーケア」といわれています。

早期からの母子接触によって親子の絆が、より強まります。

さらに、赤ちゃんの体重増加、免疫力アップ、お母さんの母乳分泌量のアップなどメリットが沢山あるといわれています。

カンガルー1.jpg カンガルー2.jpg

母乳について

赤ちゃんにとってお母さんの母乳が一番の栄養です。母乳には赤ちゃんの成長に必要な栄養素が沢山含まれています

NICUにはラクテーション・コンサルタントという母乳育児支援の国際資格所有者が2名おり、母乳栄養を継続できるよう援助しています。

周産期センターでは、母乳勉強会を定期的に開いており、ご希望の母乳育児がすすめられるようアドバイスを行っています。スケジュールについては病棟看護師へお問い合わせください。 

直母.jpg

臨床心理士

周産期センターでは臨床心理士を配置して、心理的サポートが必要なご両親へカウンセリングを行っています。

地域との連携

NICU退院後の赤ちゃんを地域でサポートできるよう、地域の保健師と月1回情報交換を行っています。

退院した後の保健指導がスムーズに進むよう協力し合い取り組んでいます。

2002年以降の年間入院数

業績・活動

診療実績

年間入院数は350~400例です。出生体重1500g未満の極低出生体重児が約50例、そのうち1000g未満の超低出生体重児が約20例を占めています。

当センターで扱う症例

1、早産児(在胎36週未満、出生体重2000g未満)

2002年の総合周産期母子医療センター開設以降、当センターの超低出生体重児の生存率は94%です。極低出生体重児の救命率はさらに高く99%が生存退院します。体重が2000gを越えている場合でも、低血糖や呼吸障害がある場合はNICUで治療を行います。

2、呼吸障害の見られる児

低酸素血症や呻吟、陥没呼吸、無呼吸発作を認める児に対して、人工呼吸や持続陽圧換気などの呼吸管理を行います。先天性の気道疾患に対しては耳鼻科医とともに迅速に対応します。

3、神経症状のある児

先天性中枢神経疾患(水頭症、全前脳胞症、裂脳症、滑脳症、Dandy-Walker症候群、髄膜瘤など)やけいれん等の症状がみられるお子さんに対し、脳外科医、小児神経専門医と協力して外科治療を含めた全身管理を行います。

4、先天性心疾患が疑われる児

出生後、チアノーゼや心雑音などの症状があるお子さんは、NICUへ入院し精査を行います。外科手術や緊急処置が必要と判断された場合、南部医療センター・こども医療センターへ転院となりますが、内科的治療で対応できる場合は心臓専門医と連携を取りながら当院で治療を継続します。

5、外科手術が必要な児

当院には小児外科専門医、整形外科医が常勤しており、鎖肛、食道閉鎖、十二指腸閉鎖、小腸閉鎖をはじめ内反足や関節拘縮、骨折などあらゆる外科疾患に対応が可能です。

6、先天異常を合併した児

染色体異常や奇形症候群のお子さんに合併した疾患の治療を行うと共に、そのご家族をサポートしていきます。

7、重症黄疸

早発黄疸や交換輸血が必要な重症黄疸の治療を行います。

8、その他

哺乳不良、なんとなく元気がない、弱い泣き声、易刺激性、嘔吐など新生児期早期の様々な症状に対応します。

図1.png

図2.png

図3.png

このページは役に立ちましたか? 役に立った 役に立たなかった