臨床工学科

はじめに

近年の医療機器及び医療技術の進歩は目覚しく、次々と新しい医療機器が開発されています。

これら医療機器の高度化、複雑化に伴い、1987年に医療機器の操作及び保守点検をおこなうスペシャリストとして臨床工学技士という職種が誕生しました。

当院においても上記現状を踏まえ臨床工学科を設立し、臨床業務提供及び医療機器の管理をおこない、他部門同様チーム医療の一員として業務をしています。

臨床工学科の紹介

平成21年度4月より、正職員5名の採用がスタートし、年度ごとに増員を行い、現在では18人の臨床工学技士が在籍し、業務に携わっております。

主な業務内容の紹介

  • 血液浄化業務
  • 体外循環業務(補助循環、手術室業務含む)
  • 医療機器管理業務
  • 心臓カテーテル業務
  • 呼吸療法業務
  • 集中治療(NICU含む)業務
  • 不整脈治療、ペースメーカー業務

当院は急性期病院であるため、上記業務に夜間休日でも対応するために、現在二交代制を敷き、24時間365日1名以上臨床工学技士が院内にいるという環境を取っています。症例などで応援が必要な状況に対しては、オンコール体制も併せており、患者さんの治療などに携わっております。

当院臨床工学技士の業務方針、職員育成について

沖縄県立中部病院は県立6病院(北部、中部、医療センター、精和、宮古、八重山)の1つであり、精和病院を除く5病院に臨床工学技士が配置されています。

定期的な人事異動もあるため、人員の少ない遠隔地の病院でもしっかりと貢献できるよう、1分野に特化した職員を育成するので無く、業務ローテーションを実施し、幅広く業務を行いながら、異動先の病院でも、いち早く適応できるような職員育成を考えております。
また、ローテーション業務を通じて、この分野は特に知識、スキルを伸ばしていきたいと感じたものを見出してもらい、キャリアアップが出来るように業務配置の調整を行っています。最終的には臨床工学科が関与する業務全般が見通せる視野の広さと、個々の業務分野の中で専門分野を持ち、当分野においては医師や他のコメディカルと治療方針等に関して十分にディスカッションが出来る職員になってもらうことを目標と考えています。

実際の教育体制

図1)業務習得度チェック

図2)セクション

新卒者

新卒者に関しては、図1の業務習得度チェックリストを使用し、夜勤開始までに習得しておいた方が好ましい業務を中心に、図2のセクションを2か月でローテーションし、夜勤を行えるスキルの習得を目標としています。先輩のオンコールのサポート体制を敷きながら7カ月目での夜勤・オンコール開始を目指しています。

転勤者・経験者

沖縄県立病院は、毎年人事異動が行われ、転勤者の教育も必要となってきます。転勤者は基本、臨床経験者である為、今までのスキルなどを考慮しながら、新卒者同様に、図1のチェックリストを使用し、図2のセクションを1カ月ローテーションにて、4カ月目での夜勤・オンコール開始を目指しています。

スキルアップ

業務は基本ローテーションとなっていますが、各人専門分野を持ちつつ、基本の日常業務は皆で行えるように目指しています。人事評価面談のタイミングや、その都度、知識・スキルを伸ばしたい分野を聴取し、勤務に反映できるよう心掛けています。

1. 血液浄化業務

血液浄化センターへ出向という形をとり、臨床業務は主に集中治療室や病棟での出張透析、CRRT、アフェレーシスなどの実施と、血液浄化センターフロア内で準備、穿刺、開始、治療管理、返血、止血等一連の血液透析実施業務も看護師と協働しております、また血液浄化センター内にある水処理装置、コンソール等の機器管理を担うほか、透析液水質管理も行っています。

2. 体外循環業務(補助循環、手術室業務含む)

手術室へ出向という形をとり、心臓血管外科手術の際での人工心肺操作を行います。また麻酔器などの手術室内機器管理やトラブル対応も行います。

3. 医療機器管理業務

院内で使用される医療機器を、専用の管理ソフトウェアで運用しています。また、医療機器の定期的な点検の実施や、病棟などでの使用する医療機器トラブルの初期対応、パーツ交換、医療従事者への取り扱いなどの講習会も積極的に開催しており、安全性・機能性を含めた総合的な医療の質向上に取り組んでいます。

4. 心臓カテーテル業務

血管造影室へ出向という形をとり、循環器医師、看護師、放射線技師とチームで心臓カテーテル検査やカテーテル治療の介助、記録などを行います。ポリグラフの記録、IVUS、FFR、OCT/OFDIの操作、Rotablater、ダイアモンドバックの準備・介助を行うほか、緊急時の対応として、IABP、PCPS、Impella、体温管理装置などの準備、操作も臨床工学科での業務となっています。

5. 呼吸療法業務

日中ICU、NICU、病棟問わず院内全てで、人工呼吸管理を受けられている患者さんのもとへ赴き、人工呼吸器が適正に使用しているかの院内ラウンドを行い、トラブルの予防・対応を行っています。病棟での人工呼吸器装着患者へのケアや管理方法のアドバイスなどを、RST(呼吸サポートチーム)を通じて行っております。また看護師、研修医、コメディカルに向けた人工呼吸器の勉強会など定期的に行っております。

医師からの依頼を受け、IPV(肺内パーカッション)やNO(一酸化窒素)療法などの特殊呼吸療法においても臨床工学科で準備、対応を行っております。

6. 新生児集中治療室(NICU)業務

新生児集中治療室(NICU)において、人工呼吸器、閉鎖式保育器の管理や、経皮ガスモニタ、生体情報モニタ類など医療機器の管理、トラブル対応を行っています。また医師の依頼の元、低体温療法の準備やNO療法の準備、導入も臨床工学科が担っています。人工呼吸器を継続的に必要する患児に対して、退院に向けて在宅人工呼吸器の手配や相談対応も場合に応じて行っています。

7. 不整脈治療、ペースメーカ業務

当院では心臓電気生理学検査(EPS)、心臓カテーテルアブレーション治療(ABL)、心臓植え込み型デバイス(PM,ICD,CRT-P,CRT-D)の植え込み手技に、プログラマを用いての心臓植え込み型デバイスの操作、や外来患者チェック、入院患者チェック、遠隔モニタリングのデータ確認を行い、医師の診療の一助を担っています。

心臓カテーテルアブレーション治療では心電図ポリグラフ、電気刺激装置、アブレーション装置、3Dマッピング装置の操作などを行います。

EPS,ABL,PM,ICD,CRTP,CRTDの件数は当院ホームページ循環器内科紹介にて掲載してあります。

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