おきなわジェンダーセンター

おきなわジェンダーセンターとは

ジェンダー(Gender)とは、心の中で思う性あるいは本人自身が認識している性を指します。そして、性染色体に沿った身体の形状としての性をセックス(Sex)と呼びます。ほとんどの場合は、このジェンダーとセックスが一致しますが、時にこのふたつの性が一致しない方がおられます。そのような方は、性の同一性において不一致があるとして『性別違和(性同一性障害:Gender Identity Disorder;GID)』と医学的に診断されます。
わたしたちは、2014年1月より沖縄県立中部病院に精神科・産婦人科・泌尿器科・形成外科・外科・小児科(2015年1月より)の6診療科が連携してGIDの診療を行う診療部門として、『おきなわジェンダーセンター』を設立しました。また2018年8月よりGID(性同一性障害)学会認定施設として保険による診療を開始いたしました。

センター長挨拶(親富祖勝己)

沖縄県立中部病院おきなわジェンダーセンターのホームページを閲覧いただきお礼申し上げます。
ここでは性別違和(性同一性障害)あるいはジェンダー関連疾患(DSD:性分化障害:Disorders of Sex Differentiationなど)に関する私たちの取り組みや、当事者の方やご家族の方がお知りになりたい情報をできるだけ早く、そしてわかりやすく提供したいと考えています。
現在、本邦では性別違和(性同一性障害)に対して包括的なチーム医療を行う施設は数えるほどしかなく、また2018年4月より性別適合手術の保険適用が認められましたが、混合診療の問題もありGID治療が完全な保険適用になることはまだ先となっているのが現状です。そのためまだまだ多くの当事者の方が海外で治療を受けていると言われています。
不幸にも帰国後に発症した合併症の治療を求めても、海外で受けた術式がそもそも不明であることで、多くの医療機関は合併症への適切な対応に苦慮しており、そうした方たちは結果的に様々な医療機関を受診せざるを得ないという社会問題が生じています。
このような状況を解決する最善の策は、ホルモン治療の保険適用化を実現し、すべての当事者たちの性別適合手術(SRS)に健康保険が適用され、そうした充実した医療制度のもとで本邦においても性別違和に対する診療を行う医療施設が増えることだと信じます。
当センターも2018年8月より認定施設として保険による治療を開始しています。今後も本邦で先進的に性別違和に対する安心で良質な医療を提供しようと考えています。

おきなわジェンダーセンター受診を希望される方へ

GIDに関する十分な診療経験を有する医療機関からの紹介状がない場合は受診できませんので、ご注意ください。

診療のおおまかな流れ

GID診療に関して十分な実績を有する精神科医療機関の受診および十分な経験を有する精神科医のセカンドオピニオンを受け、GIDであることの確定診断を受ける。

上記医療機関において当院精神科ジェンダー外来宛紹介状を作成してもらい、また当院地域医療連携室を通して精神科ジェンダー外来予約を入れてもらうよう依頼する。

沖縄県立中部病院 地域連携室より精神科ジェンダー外来予約

精神科ジェンダー外来受診

精神科ジェンダー外来より、関係診療科外来へのコンサルト
<泌尿器科・産婦人科・小児科・形成外科・外科>外来受診

おきなわジェンダーセンターへ身体治療の申請

※現在、沖縄県本島以外の患者さんの受け入れをお断りしています。受け入れ可能になり次第ホームページにて公表いたします。

おきなわジェンダーセンターの体制

おきなわジェンダーセンターは、精神科・産婦人科・泌尿器科・形成外科・外科および小児科の医師、看護師、コメディカルなどで構成されており、その他必要とする外部機関などの協力を仰いでいます。
また、当センターはおきなわジェンダーセンター運営委員会によって組織的に運営されています。

おきなわジェンダーセンターの運営方針

  • 性別違和だけでなく、性分化障害,先天性性器異常,がん切除後あるいは外傷後の性器変形など広く外性器に関する疾病に対応する
  • 当事者中心の治療を行うため、当事者やご家族の希望に配慮した医療を実践する
  • 医学的根拠(エビデンス)に基づいた診断と治療を実践する
  • 当事者の精神的不安を最大限軽減できるようメンタルヘルスをサポートする
  • 関係診療科およびコメディカル・院外の精神科医・外部委員が一体となった医療を実践する
  • 整容的にも良好で、排尿・性交渉など機能的にも満足できる手術を行う
  • 長期フォローを行い、整容面・機能面での主観的・客観的評価を行う
  • 当センターを受診した当事者へ加齢と共に生じうる生活習慣病、悪性疾患などの一般的な疾患に対処する包括的な医療を提供する
  • ジェンダー関連医療のさらなる発展のための学術活動に寄与する

おきなわジェンダーセンターが開催する「性別適合手術判定会議」の構成員

センター長 親富祖 勝己(精神神経科医師)
副センター長 今泉 督(形成外科医師)GID学会認定医
構成員
  • 橋口 幹夫(産婦人科医師)
  • 大畑 尚子(産婦人科医師)GID学会認定医
  • 三浦 耕子(産婦人科医師)
  • 中澤 毅(産婦人科医師)
  • 金城 さおり(小児科医師)
  • 又吉 慶(小児科医師)
  • 栄野川 優子(看護師)
  • スチュアート 和歌子(看護師)
  • 山田 美咲(看護師)
外部構成員
  • 山本 和儀(精神科医師)GID学会認定医
  • 宮島 英一(精神科医師)
  • 小渡 稚子(精神科医師)
  • 赤嶺 真也(弁護士)

性別適合手術適応判定会議

毎月1回開催される『性別適合手術適応判定会議』にはおきなわジェンダーセンター構成員および外部委員が参加して個々の当事者の診断確定治療の適応判定を行っています。

おきなわジェンダーセンター運営委員会

必要に応じて、おきなわジェンダーセンター運営委員会を開催しています。
この委員会では、多くの関連部署の職員によって構成され、センターにおける運営方針を策定し、さまざまな個別的問題を話し合うことでより良い医療の提供ができるよう協議しています。

SRSに関する情報

SRS(性別適合手術)

性別適合手術には、性器に対する手術と、性器以外に対するものがあります。
性器に対する性別適合手術とは、性別違和症(性同一性障害)と診断された人が心の性の肉体的特徴により近づけるよう、形態を変える目的で性器に対して行う手術を意味します。

FTMに関する手術

  • 乳房切除術

    乳房をより男性らしい外観に近づける目的で行います。乳輪の周囲、または乳房皮膚を大きく切開し、乳腺とその周囲の皮下脂肪を摘出します。どちらの切開法を選択するかは、主治医と相談の上決定します。

  • 子宮卵巣摘出術

    女性性器である子宮と女性ホルモンを分泌する卵巣を摘出する目的で行います。開腹、もしくは腹腔鏡で、子宮および付属器を摘出します。

  • 尿道延長術

    陰茎形成術を希望される方に必要な手術です。男性性器に似通った形にするために、もともとの尿道口(尿の出口)を陰核周囲に移動(尿道自体を延長)することを目的に行います。

  • 陰茎形成術

    外見的に、より男性らしい外性器に近づける目的で行います。鼡径皮弁や腹部皮弁などを使った陰茎形成術と、遊離皮弁(前腕、大腿や背部等)を使った陰茎形成術があります。

MTFに関する手術

  • 陰茎切断術・精巣摘出術

    男性性器である陰茎を切断し、男性ホルモンを分泌する精巣を摘出し、女性らしい外観に近づける手術となります。これと同時に陰核形成術と新尿道口の作成を行います。

  • 造腟術

    より女性らしい外観に近づけ、腟を使った性交を可能にします。
    陰茎・陰嚢・鼠径部の皮膚を用いた腟形成術と、大腸を用いた腟形成術があります。特に前者では、手術後に腟が狭くなることを防ぐために、長期間のプロテーゼ(シリコン製などの拡張器)を用いて拡張する必要があります。

※当院では、入院前に預り金をお支払いただいております。預り金の入金は予定手術日の一か月前までにお支払いただきます。(費用についてはこちらをご覧ください)

※預り金は費用の概算であり、実際の金額ではありません。また、料金は予告なしに変更する場合があります。

実績

おきなわジェンダーセンターのおもな診療実績はこちらをご覧ください。

学会発表はこちらをご覧ください。

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