整形外科

整形外科とは

整形外科医が関わるのは、骨折・脱臼などの外傷、スポーツ外傷・障害、変形性関節症や関節リウマチなどの関節疾患、骨粗鬆症、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、後縦靭帯骨化症などの脊椎・脊髄疾患、骨・軟部腫瘍など多岐にわたっています。 これらはいずれも人が立ち、歩き、手を使うのに必要な運動器の機能を障害するものです。

整形外科医は、患者さんに運動療法や薬物療法などの保存療法そして手術療法などの適切な医療を提供し、運動器機能の維持・改善の手助けを行います。

基本方針

当院は総合病院であると同時に救急指定病院、基幹災害拠点病院、へき地医療拠点病院、地域医療支援病院、臨床研修病院、総合周産期母子医療センターです。
当科は ①救急医療 ②小児整形外科 ③研修医教育 を重点にした診療を行っています。

診療内容

①救急医療
当院救命救急センターは、24時間365日1次から3次までの患者さんを受け入れています。
当科では受診した骨折や脱臼などの外傷、骨軟部組織感染症、変性疾患の急性増悪などの治療を行っており、当科に入院する患者さんの8割以上は救急センターからの入院です。四肢外傷のみでなく脊椎・脊髄損傷、骨盤・寛骨臼骨折、重度四肢外傷の治療も積極的に行っています。また多発外傷や重症骨軟部組織感染症の治療は他の診療科と協力して行っています。
当院は地域支援病院であり、地域の医療機関から紹介いただいた患者さんの急性期医療を担っております。 入院治療では早期よりリハビリテーションを開始していますが、手術や点滴治療といった急性期治療が終了した時点で長期のリハビリテーションが必要と判断すれば、専門病院へ転院していただいております。
外来通院も急性期の治療を中心に行っており、外来でのリハビリテーションや保存治療は基本的に行っておりません。状態の安定した患者さんや通院リハビリテーションが必要な患者さんは地域の医療機関に紹介しています。
②小児整形外科
発育性股関節脱臼、内反足、ペルテス病、骨系統疾患、麻痺性疾患の診療を行っています。発育性股関節脱臼の2次検診では超音波を用いた検診で早期発見・早期治療を行なっています。
内反足治療はPonseti法を、ペルテス病は保存治療から手術治療まで行なっています。 また総合周産期母子医療センターで出生した新生児の整形外科疾患を新生児科と協力して診療しています。
骨系統疾患、二分脊椎や脳性麻痺といった麻痺性疾患は、県内の小児整形外科を専門とする医師から構成される沖縄小児整形外科グループ(OPOG)で協力して行なっています。
③研修医教育
臨床研修事業、特に沖縄の離島医療を担う医師の育成は当院の重要な役割の一つです。離島診療所では整形外科疾患を診る機会が多く、救急患者への初期対応と基本的な保存治療が一人でできるようになる必要があります。
救命救急センターでは救急患者への適切な初期対応を教育、初期治療を行い入院もしくは外来へコンサルテーションができるようにしています。
初期研修医は整形外科のローテーションが必修で基本的な清潔操作や縫合などの外科的処置、術前術後管理、整復や固定、骨粗鬆症の診断・治療などの保存治療を学んでもらっています。
学生の実習も積極的に受け入れ、診療に参加してもらうon the job trainingのスタイルをモットーとしています。
整形外科学会専門研修プログラムでは、琉球大学整形外科の関連研修施設となっています。後期研修医も積極的に受け入れており、特に骨折治療については多くの症例を経験することができます。
当科では骨折治療のグローバルスタンダードであるAO法に基づいた治療・指導を行っています。

整形外科外来のご紹介

外来は月曜・木曜に3名の医師で診療しています。

当科は急性期の入院治療が中心で、外来診療は基本的に紹介患者さん診察と手術後の経過観察に限って行なっています。

新患の受け付けは午前11時までとなっており紹介状が必要です。

再診は完全予約制となっています。 病棟や救命救急センターの患者さんの対応も同時におこなっているため、待ち時間が長くなったり休診になる場合があります。

急性期の患者さんを診るため、状態の落ち着いた患者さんは、地域の医療機関を紹介させていただいています。一方、救命救急センターは24時間365日患者さんを受け入れておりますので、緊急性が高いと判断された場合は救命救急センターへご紹介ください。

スタッフ紹介

普天間 朝拓
米田 晋
斎藤 俊輔
赤嶺 尚里

診療実績

整形外科専門医 3名
後期研修医 1〜2名
初期研修医 1名
入院患者数 40~50人
外来 週2回 約100名/日

学術活動 ・会発表

  • 池間正英
    ・垂直隔離ドレープは手術部位感染予防に有用か? 第40回日本骨・関節感染症学会
    ・小児大腿骨頚部骨折の2例 第42回日本骨折治療学会
    ・下肢多発骨折を大腿骨骨骨幹部骨折に対する逆行性髄内釘 第42回日本骨折治療学会
    ・Mitchell-Ponseti装具を用いたPonseti法の成績 第28回日本小児整形外科学会学術集会
    ・両側ペルテス病と診断されていた多発性骨端異形成症の1例 第29回日本整形外科学会骨系統疾患研究会
  • 普天間 朝拓
    ・整形外科疼痛管理における漢方薬の使用経験 第30回日本疼痛漢方研究会学術集会
    ・整形外科急性期における漢方治療の取り組みと研修医教育 第30回御茶ノ水東洋医学フォーラム記念講演会
    ・整形外科疾患に対する漢方治療 平成29年度日本東洋医学会九州支部沖縄部会
    ・BHA/THAにおける上方侵入 第39回沖縄関節外科研究会
    ・整形外科領域の漢方薬 痛みの漢方セミナー
  • 松浦 顕
    ・小児化膿性膝関節炎の検討 第28回日本小児整形外科学会学術集会
    ・上腕骨外顆骨折に合併した肘関節脱臼の治療経験 第34回九州小児整形外科集談会

誌上発表

池間正英、普天間朝拓 小児大腿骨頚部骨折の2例 骨折 40(1) 155-158 2018
池間正英、普天間朝拓 垂直隔離ドレープは手術部位感染予防に有用か? 日本骨・関節感染症学会雑誌 31 24-26 2017
普天間朝拓 仙腸関節痛・股関節痛に対する漢方治療 ペインクリニック 38 5379-5387 2017
普天間朝拓 神経障害性疼痛に対する抑肝散の効果 痛みと漢方 27 91-95 2017

整形外科医専攻プログラム

当院は24時間オープンの救命救急センターが併設されており、多くの入院患者が救急センター経由で入院する。 それに対し、スタッフの整形外科専門医が3名と少ないため、しばらくの間は外傷以外の手術が制限されていた。しかし、地域の中核病院として患者のニーズに応えるため、2007年から制限を解除してきた。 そのため、2006年以前は300件前後であった年間手術件数が、最近では400件を超すようになってきた。

手術症例は多く、多様な手術が経験できる。
外傷に関しても、上肢では肩〜手指、下肢では股関節〜足趾に至る骨折・脱臼・脱臼骨折の手術が行われている。また、骨盤骨折や脊椎・脊髄損傷の手術も行っている。 外傷以外でも、OAやRAに対する人工関節手術や膝靭帯損傷、半月板損傷に対する鏡視下手術、頚椎椎間板ヘルニアや頚髄症、腰部脊柱管狭窄症等の脊椎疾患に対する手術も多くなってきている。また、小児内反足や先天性股関節脱臼に対する手術も行っている。 当院では他科との関係も良好で、整形外科単独では困難な手術も他科との協力で行えることが特筆すべきことである。また、沖縄県立南部医療センター・こども医療センターとも親密な関係にあり、お互いに研修医を受け入れている。

初期研修1年目は、2週間整形外科をローテートする。その間、朝7時30分から8時30分の早朝レントゲン・カンファレンスに参加し、前日の救急セン ターで撮影された、整形外科関連の画像をチェックする。
わかりにくい骨折やその他の所見の見方や救急センターでの対応の仕方等について学ぶ。また、スタッ フの指導下で抜釘等の小手術の執刀医として手術が経験でき、助手として最後の皮膚縫合等の外科手技の基本が学べる。

初期研修2年目では、外科やプライマリー科から4週間以上の期間ローテート研修医を受け入れている。その間は、各研修医のレベルに応じて、スタッフの指導の下で多くの骨折患者の観血手術の執刀医として手術ができる。

卒後3年目以降になり、整形外科専門医をめざす研修が本格的に始まる。
卒後4年目の研修終了時には、ほとんどの外傷患者の主治医として、スタッフの指導の下で手術が執刀できるようになることが目標である。

卒後5年目〜6年目の研修では、外傷の手術は研修医を指導しながら一人で行えるようになるのが目標である。外傷以外でも、助手として十分に経験を積んだ後に、徐々に一人で手術をこなせるようになることを目標とする。
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