泌尿器科

基本方針

当科は、地域がん診療連携拠点病院として、腎臓がん、尿路上皮がん(腎盂・尿管・膀胱がん)、前立腺がん、精巣腫瘍などの診療をしています。
また、尿路結石や前立腺肥大症などの良性疾患の診療、透析をしている患者さんへの生体腎・献腎移植も行っています。手術全般は内視鏡手術が中心です。
泌尿器科救急疾患についても救急センターと連携し診療をしています。

泌尿器科で扱う症状・疾患

腎臓がん

大きさが7cm以下の腎腫瘍の場合は腎臓を丸ごと摘除するのではなく、腫瘍の部分だけを摘除する腎部分切除術を腹腔鏡下に行っています。
転移性腎臓がんの場合は、必要に応じて血液・腫瘍内科と連携しながら免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬などの治療を行っています。

尿路上皮がん

腎盂・尿管がんについては、造影CTなどの画像検査、麻酔下での尿管鏡検査や生検などで診断を行っています。
がんと診断された場合は、病期(ステージ)評価をし、必要があれば腹腔鏡補助下に摘除術を行っています。
膀胱がんについては、経尿道的内視鏡手術で診断的治療をします。腫瘍が膀胱の筋層まで入り込んでいない表在性がんの場合は内視鏡手術だけで済みますが、腫瘍が筋層まで入り込んだ筋層浸潤性がんの場合は腹腔鏡下膀胱全摘除術を行っています。但し患者の状態によっては、膀胱全摘除術を行わず放射線治療科と連携し抗がん剤と放射線治療の併用を行う場合もあります。
転移性尿路上皮がんに対しては抗がん剤治療や免疫チェックポイント阻害薬での治療を行っています。

前立腺がん

がん検診などで行う血液検査でPSAが高い場合に発見されることが多いです。
確定診断には前立腺針生検が必要ですが、当科では全身麻酔で行っているため痛みを伴いません。
前立腺がんと診断された場合は、病期(ステージ)評価を行います。 限局がんであった場合は、リスク評価を行い、監視療法、腹腔鏡下前立腺全摘除術、放射線治療などを行っています。
放射線治療を希望される場合は外来通院が原則ですが、遠方在住の方については入院して行う場合もあります。
転移性前立腺がんに対しては初回ホルモン治療が主です。(前立腺がんは男性ホルモン依存性であるため、ここで言うホルモン治療とは男性ホルモンを抑える治療のことです) 初回ホルモン治療の効果がなくなった場合(去勢抵抗性といいます)は、適宜画像含めた評価を行い、症例によっては新規ホルモン製剤や抗がん剤であるドセタキセル、カバジタキセルを用いた化学療法、骨転移を伴う場合はラジウム(Ra223)による内用療法も行っています。

精巣腫瘍

比較的若年者から青年層に多い疾患ですが、陰嚢が痛みもなく腫大してくる場合に疑います。早期に外科的治療を行い、進行具合によっては抗がん剤が必要になります。
当院では血液腫瘍内科と連携して抗がん剤治療を行います。

排尿困難

原因として多いのが前立腺肥大症(男性の場合)や神経因性膀胱です。
超音波検査などで前立腺の大きさを測定し、治療としてはまず薬物治療を行います。 薬物治療で症状が改善されない大きい前立腺肥大症や、尿閉(尿が全く出せなくなること)を繰り返す場合は外科的治療を行います。
外科的治療としては、経尿道的前立腺切除術を行っています。膀胱機能が低下した神経因性膀胱の場合は薬物治療や自己導尿(患者さん自身が導尿を行う)を指導します。

尿路結石

結石発作をおこした患者さんが救急センターを多数受診されます。 結石の大きさや位置を評価して最初は内服治療を行いますが、自然排石が困難な場合は外科的治療を行っています。
外科的治療としては内視鏡的手術が主です。
体外衝撃波結石破砕術については機器がないため他院へ紹介しています。

小児泌尿器科

2020年9月より沖縄県立南部医療センター・こども医療センターの小児泌尿器専門である川合先生が原則第1・3金曜日午後に専門外来を行っています。
待機的手術に関しては原則こども医療センターへ紹介しています。
精索捻転などの緊急性の高い手術だけ行っています。

腎移植

当院の腎移植の歴史は古く、1987年より開始されました。
当院の特徴として、泌尿器科、腎臓内科、外科それぞれに移植認定医がおり、レシピエントコーディネーターとともにチームで移植をおこなっております。
免疫学的に難しいとされていた血液型不適合や二次移植(2回目の移植)も行い、夫婦間移植や透析導入前のプリエンプティブ移植が増えています。
当院では献腎登録も可能です。

尿路外傷

救急センター・外科医と連携し、迅速な対応が可能になっております。 当院は各科の垣根が低いので、他科の患者さんの泌尿器科疾患、急変などにも対応しています。

スタッフ紹介

島袋 修一
田崎 新資
伊原 賢吾
川合 志奈
(非常勤)

泌尿器科 手術実績

2018年1月から2020年12月までの主な手術数(代表的疾患別)

部位 手術内容 2018 2019 2020
副腎 関連 腹腔鏡下副腎摘除術 0 2 0
腎・尿管 関連 腹腔鏡下腎摘除術(悪性) 7 9 11
腹腔鏡下単純腎摘除術(ドナー腎摘) 7(3) 8(2) 7(4)
腹腔鏡下腎尿管摘除術(悪性) 4 8 5
腹腔鏡下腎部分切除術(良性) 9(2) 7(2) 7
腹腔鏡下腎盂形成術 0 2 1
腹腔鏡下腎嚢胞切除 0 1 1
尿路結石 関連 尿管ステント留置 34 30 18
経皮的尿路結石除去術 3 1 1
経尿道的尿路結石除去術 17 22 13
経尿道的膀胱結石摘出術 4 4 1
切石術 1 2 4
膀胱がん 関連 開腹膀胱全摘・尿路変更 1 0 0
回腸導管のみ 1 0 0
腹腔鏡下膀胱全摘除、新膀胱 0 0 1
腹腔鏡下膀胱全摘除、回腸導管 1 3 7
腹腔鏡下膀胱全摘除、尿管皮膚瘻 0 1 2
経尿道的膀胱腫瘍切除 31 53 36
前立腺がん 関連 腹腔鏡下前立腺全摘除術 7 28 42
前立腺肥大症 関連 経尿道的レーザー前立腺切除術 50 47 11
経尿道的前立腺核出術 11 16 4
経尿道的前立腺切除術 6 2 1
陰茎 関連 包茎 9 5 1
陰茎・尿道がん関連 0 2 2
陰茎折症、外傷 3 3 0
精巣 関連 高位精巣摘出 5 1 1
外科的去勢 13 2 3
陰嚢水腫 2 4 1
停留精巣 6 7 10
急性陰嚢症(精索捻転・精巣外傷) 5 11 7
腎移植 関連 生体腎 1 0 0
死体腎 1 1 0
女性泌尿器科 関連 腹圧性尿失禁手術(腹腔鏡) 0 2 1(1)
腹腔鏡下仙骨膣固定術 0 5 8
膀胱出血 経尿道的電気凝固術 3 8 8
膀胱破裂 膀胱破裂修復術 0 2 2
合計 242 299 217
このページは役に立ちましたか? 役に立った 役に立たなかった