臨床検査科

基本方針

社会構造の複雑化に伴い、患者さんを取りまく医療ニーズも多種多様に変化しています。

当科では、患者さんひとりひとりに合った医療サービスの提供をめざし、専門的技術のさらなる習得、最新の検査情報や技術の提供に努めています。

また、正確かつスピーディーな検査結果の報告や業務の効率化、他部門との円滑な連携強化により、患者さんの待ち時間軽減に努めています。

外来採血・採尿室

外来採血室では7:30~17:00まで採血・採尿業務を行っております。臨床検査技師1名、看護師4名、受付職員1名で業務を担当。乳幼児から高齢者まで1日に約200~300名の患者さんが利用されますが、スムーズに採血できるよう努めています。

病理診断科

病理診断科は病理医1名と臨床検査技師8名(内、細胞検査士5名)、事務員1名で業務を行っています。

主な業務は、病理組織診断、細胞診断、病理解剖です。
病理組織診断は手術や内視鏡などの検査で採取された臓器の一部を臨床検査技師が特殊な処理を施し病理組織標本を作製し、標本化された様々な臓器を病理医が顕微鏡で観察し病理診断を行います。

細胞診断は子宮頸部粘膜、喀痰、尿、体腔液や乳腺などのさまざまな部位から細いブラシや針で採取された細胞に特殊な処理を施し細胞標本を作製し、細胞検査士と病理医が顕微鏡で観察し細胞診断を行います。細胞診検査は婦人科や肺がんの検診でもよく行われている検査でがんの早期発見に役立っています。

病理解剖は死因の解明や病気・病態の詳細な検討を行うことを目的とし、治療途中で不幸にも亡くなられた方のご家族のご理解のもと臨床医の申し出により病理医が解剖を行います。

また、手術中に行われる術中迅速病理診断も行われています。手術中に臓器の一部を採取し、迅速に標本化して顕微鏡で病理医が病理診断を行うことです。これにより、手術中に病態を正確に把握し、手術方針を適切に変更・決定することができます。臨床的に理解が難しい症例については、その都度、病理医と相談することにより、病態のより深い理解、より適切な診療に繋げることができます。希症例など当科で確定診断が困難な症例に関しては、臆せず外部の専門家にコンサルテーションして、診断精度の向上を図っています。

このように専門知識を持ったスタッフが臨床のニーズに応え、丁寧かつ迅速に対応できるよう日々業務に取り組んでいます。

生化学・免疫血清検査室

生化学・免疫血清学検査の業務内容は、主に血清(血液を遠心分離した後の上清)や尿を用いて様々な成分を測定し、各臓器の異常や病気の診断、治療効果の判定に利用されます。

測定項目は、電解質、酵素、脂質、糖質、蛋白質、含窒素成分などの一般的な項目に加え、各種ホルモン、血中薬物濃度、腫瘍マーカー、感染症など多岐にわたります。

自動分析装置を効率よく配置し、臨床側への結果報告を迅速に提供できるよう努めています。

輸血検査室

輸血検査室では、血液型検査、不規則抗体検査(スクリーニングと同定)、交差適合試験、妊婦抗体力価測定、自己血採血の介助等を行っています。

医師や看護師をはじめとする医療スタッフ、血液センターなどと連携し、患者さんにとってより安全かつ適切な輸血療法が行われるよう努めています。

一般検査室・血液学的検査室

血液学的検査室・一般検査室は8名の臨床検査技師が担当しており、以下の検査を行っています。

一般検査室

  • 尿検査:主に尿路系(腎臓・膀胱・尿道)の異常を調べるため、尿蛋白や尿糖、尿潜血などの測定(尿定性)、さらに顕微鏡で尿成分の観察を行います(尿沈査)。
  • 便検査:便潜血や寄生虫検査を行います。便潜血検査は大腸がん検査のスクリーニングに重要です。また寄生虫検査では糞線虫がしばしば検出されています。

その他にも髄液検査・穿刺液検査(胸腹水・関節液など)・精液検査なども行っています。

血液学的検査室

  • 血液検査:貧血などの確認のため、赤血球数・白血球数・血小板数・ヘモグロビン値などの測定、および血液標本の作製・観察を行っています。
  • 骨髄検査:血液のもととなる骨髄より採取された骨髄液や組織から、標本の作製・血液細胞の観察を行います。血液疾患の診断や治療効果判定などに重要です。
  • 凝固検査:血が止まりやすいか(止血・凝固・血栓)、止まりにくいか(出血しやすいか)どうかの確認ため、凝固因子や血小板凝集能を測定します。これらは凝固薬のモニタリングにも使用されます。

細菌検査室

細菌検査室は7名の臨床検査技師で各種業務を行っています。

主な検査内容は感染症が疑われる患者さんから採取された検体(尿・喀痰・便・血液等)に原因となる細菌がいないかを調べる検査です。

検体をスライドグラスに塗り広げ、グラム染色という特殊な染色で細菌を染め分けて顕微鏡検査で菌体の有無を迅速に調べます。その後目的に合った培地に検体を塗り広げ、37℃のふ卵器で培養し、そこに発育してきた細菌の菌名を調べます(菌種同定)。さらに使える抗菌薬を調べます(薬剤感受性検査)。検体提出から結果報告には、早くても2日はかかります。

ウイルス性胃腸炎の原因となるノロウイルスやロタウイルスの検査は提出した当日に検査結果が出ます。 一方、結核を引き起こす結核菌を含む抗酸菌培養は、特殊な培地を用いて最大8週間培養し、菌種同定や薬剤感受性検査を行います。そのため最終的な報告に数週間を要する検査となります。

当院で検出された細菌の情報は感染制御チーム(Infection Control Team:ICT)抗菌薬適正使用支援チーム(Antimicrobial Stewardship:AST)にも活用されます。また、患者さんのみならず全職員を含めた病院全体の感染を防ぐためにも協力しています。

生理検査室・超音波検査室

生理検査室および超音波検査室は、臨床検査技師10名(耳鼻科検査兼任)、診療放射線技師2名、受付職員2名で各種検査を行っております。人体から得られる心電図や脳波のような電気信号や、超音波を使って得られた画像をもとに、患者さんの体の状態を調べるのが主な検査内容です。

心電図検査

安静時および運動負荷後、24時間の心電図変化から、狭心症や不整脈をとらえます。

呼吸機能検査

肺活量などから肺の機能の低下がないか、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの病気がないかを調べます。

脳波検査

脳内の電気的な活動を調べることにより、てんかんや意識障害、脳腫瘍などのような病気がないかを調べます。

超音波検査

心臓、腹部、乳腺(乳房)、血管など、体の部分を超音波で観察し、心臓の動きや、血管の詰まり、腫瘍などの病気がないかを調べます。

耳鼻科検査室

耳鼻科検査室では、臨床検査技師2名、言語聴覚士1名で各種検査を行っております。

主な業務内容は、耳の聞こえの検査である聴覚機能検査(聴力検査、インピーダンス検査、聴性脳幹反応検査等)、めまいなどに関係する検査である平衡機能検査(重心動揺検査、視標追跡検査、視運動性眼振検査、温度眼振検査等)、補聴器適合検査、その他に鼻腔通気度検査、嗅覚検査、電気味覚検査、顔面神経検査等があり、当日できる検査もありますが予約が必要なものもあります。

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