感染症内科
基本方針
感染症内科は「感染症診療と感染管理を通して社会に貢献する」を理念として活動しています。
診療内容
1)感染症診療とは
感染症内科は主に発熱のある患者さんを診るグループです。発熱の多くは、何らかの微生物にかかる(感染する)ことにより発生します。原因となる微生物の多くはウイルスや細菌、まれに寄生虫などのこともあります。幼小児や高齢者、また何らかの基礎疾患を持つ方は重症化しやすく、入院治療が必要になることもあります。
発熱の原因は感染症だけではありません。腫瘍(癌やリンパ腫)、膠原病(免疫の病気)に加えて、薬の副作用が原因で発熱を来していることもあります。発熱の原因を探し出し、治療するのがわれわれの主な仕事です。
感染症は症状が体全体に及んでいることが多いため、診断に際しては、じっくりと時間をかけて詳しく病気の経過を伺います。そして頭の先から足先まで、丁寧に診察を行います。熱の原因を探すためには、血液検査やレントゲン検査以上に、患者さんの症状をよく聴くことが診断への近道なのです。
細菌による感染症の治療には、抗菌薬(いわゆる抗生物質)が使われます。しかしながら、抗菌薬の使用量の増加に伴い、抗菌薬に効きの悪い細菌(耐性菌)が急速に増加しています。
私たちは、このような耐性菌を治療するだけでなく、耐性菌を「生み出さない」適切な抗菌薬治療に心がけています。使用されている抗菌薬の種類・治療期間などを把握し、管理することが重要です。また、病院全体で適切な抗菌薬治療が徹底されるように、医師、研修医のみならず、薬剤師や検査技師とともにさまざまな対策を継続しています。
2)感染管理とは
感染症はヒトからヒト、あるいはモノや動物などからヒトへ伝搬する病気です。したがって、この伝搬を防ぐこともわれわれの重要な任務です。感染管理とは、病院内外で発生する感染症の動向を的確に把握し、特に病院内で広がることを防ぐ活動です。
県内でも特に重症な患者さんの集まる当院では、感染管理には特別に配慮しております。しかし、目に見えない微生物への対策は容易ではありません。さまざまな場面で、患者さんとご家族にご協力いただくことがあります。ご理解をよろしくお願いいたします。
主な予防策 | 主な対象 | |
標準予防策 | すべてのヒトの血液・体液・粘膜への直接の接触を避ける | |
採血時などに手袋を着用 | すべての患者 | |
接触感染予防策 | 手指や一部の環境を介して、触れることによって感染する | |
手袋、エプロン | 耐性菌、腸炎、ヘルペス、疥癬など | |
飛沫感染予防策*1 | 咳やくしゃみなどで発生する「飛沫」を吸い込むことで感染する | |
手袋、マスク、ゴーグル | インフルエンザ、おたふく、風疹など | |
空気感染予防策*2 | 飛沫よりさらに小さい「飛沫核」を吸い込むことで感染する | |
微粒子用マスク | 結核、麻疹、水痘 |
*1:飛沫は1~2メートル飛び散るため、咳やくしゃみをする人が、鼻と口をティッシュなどで押える「咳エチケット」を守ることが大切。
*2:飛沫核はとても小さいので、空気中を長時間ただよう。
3)予防医療
いくつかの感染症はワクチンにより予防が可能です。感染症内科は、予防可能な病気に対するワクチン接種を強く勧めています。
主にインフルエンザウイルス、麻疹、風疹、おたふくかぜ、水痘、肺炎球菌、B型肝炎、A型肝炎などのワクチンを接種しています。小児のワクチン接種は小児科が担当しております。
外来では上記のワクチンを含めて海外渡航などの旅行前のワクチン接種や、マラリア予防のための予防内服についてもご相談させて頂いています。
詳細は感染症内科外来をご参照下さい。
4)特殊な感染症への対応
当院はエイズ拠点病院および第二種感染症指定医療機関に指定されています。HIVや新型インフルエンザなどに感染された方に、安心して適切な医療を提供できるようにいろいろな職種(看護師、薬剤師、検査技師、栄養士、事務職員、医療ソーシャルワーカー、など)が集まった医療チームで対応しています。
感染症内科外来のご紹介
感染症内科外来の概要
- 感染症内科医が診療を行う曜日は下記になります。事前に電話や他院からのご紹介などで受診予約をお願いします。
月曜日:午前 火曜日:なし 水曜日:午後 木曜日:午前 金曜日:なし - 発熱、咳、皮疹等の症状がある場合には、受付で必ずその症状をお伝え下さい(感染症伝播を防ぐため、症状によっては離れた診察室で診療を行う場合があります。また咳、鼻水、咽頭痛がある場合にはマスクを着用してご来院下さい)。
- 症状により、総合内科外来の新患担当医師が最初に診察させていただきますが、必要に応じて感染症内科医が共同で診療にあたります。
特殊な感染症診療についての外来
① HIV感染症
- 当院は「エイズ治療拠点病院」であり、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染されている方々の診療をさせて頂いています。
- 原則的に予約を事前にして頂いた上で診療させて頂きますので、下記をご参照下さい。
<予約方法>
- ー 病院代表(098-973-4111)に電話をして、「地域連携室に受診調整のため繋げてほしい」と伝える
- ー 地域医療連携室の担当者と予約調整を行う
- ー 外来を受診する(場所は通常内科外来で、プライバシーに配慮し診療を行います)
※受診調整以外の健康状況のご相談等は電話ではお受けしかねますので、ご了承下さい。
② ワクチン接種
海外に行かれる方は年々増加しており、渡航前に必要なワクチン接種を行うことが重要です。ワクチン接種を希望される方々や、ワクチンに関わるご質問、海外渡航時に注意すべき点などを含めて、是非海外渡航前にご相談ください。ワクチンによっては複数回接種が必要なものもありますので、早め(できれば3カ月以上前)にご相談いただけたらと思います。
- 就学、就労、海外渡航でワクチン接種が必要な方
- 健康維持のためワクチン接種をしたい方
(妊娠されている方の場合には事前にかかりつけの産婦人科医とご相談下さい) - 当院で接種しているワクチンは下記になります
*ワクチン費用以外に実際の接種に際しては「受診料(初診または再診料)+処置料」が加算されます。
<予約方法>
- 当院代表電話番号(098-973-4111)にご連絡頂き、交換手に「ワクチン接種の希望」とお伝え下さい。受付担当者につなぎ、ご希望のワクチンなどについていくつかご質問をさせて頂きます。
- お伺いした内容をふまえて、接種担当者から来院日を調整させて頂くためのご連絡を致します。
- 渡航までの日数が短いとご希望のワクチンが接種できないことがあります。ご連絡はお早め(できれば渡航3カ月以上前)にお願いします。
その他の活動内容
- 岩手県立大船渡病院でのコンサルト業務、研修医教育
- タイ(マヒドン大学、ナーン)での熱帯医学研修(毎年12月)
- 沖縄の県立病院間での感染症診療サポート
スタッフ紹介
診療実績、学会発表・論文発表、感染症内科 業績集
- 総入院数(2019年度):630名
- 院内コンサルト件数(2019年度):255名
- 学会発表、論文、誌上発表