地域ケア科

基本方針

理念

「生活を支えるケア」を「生命を守る医療」とともに

行動目標

沖縄県においても急速に高齢化が進展しており、疾病構造は複雑化し、また慢性化してきています。

とくに高齢者にとっては、過度な医療(長期の入院やポリファーマシー)がリスクになることさえあります。
こうした中、総合病院でおこなう生命を守る医療に加えて、地域の中でひとりひとりの生活を支えるケアの実施や調整も、医療機関に期待されています。
ただし、こうしたケアを提供するためには、介護療養施設、介護事業所、訪問看護ステーション、通所リハビリ、そして診療所といった地域全体の連携が不可欠です。

また、療養の主体は患者さん自身であり、最大の支援者は家族です。これら全体を見渡しながら、踏み込みすぎず、離れすぎず、寄り添うような医療の役割を果たしてゆきたいと考えています。

概要

1. 総合病院という特性を活かした在宅ケア活動を展開します

急性期の疾患、難治性の褥瘡ケア、疾病に関連する精神ケア、病態に応じた栄養管理など専門医療の介入が求められる場合には、院内の専門医と連携して在宅もしくは通院による診療へとつなげます。
また、在宅での療養継続が困難になったり、介護する家族のレスパイントなどが求められたるする状況では、病棟主治医と連携して速やかに入院できるよう調整します。

2. 中部病院における地域ケア活動を推進調整します

入院している患者さんの医療依存をできるだけ軽減し、住み慣れた自宅や施設での生活が現実できるよう支援します。具体的には、退院後の療養生活に不安のある患者さんや家族の相談に乗り、退院直後のフォローアップ(在宅訪問など)を病棟主治医と協力して行っていきます。また、必要に応じて、かかりつけ診療所等との連携についても調整します。

3. 悪性腫瘍終末期にある患者さんの在宅ケア活動を実施します

住み慣れた自宅や施設での療養を望まれている悪性腫瘍の患者さん(当院を通院中、もしくは退院後の患者さんを対象にしています)のうち、とくに予後が1ヶ月以内と考えられる方について、その希望が叶えられるように集中的な訪問診療活動を実施します。活動にあたっては、訪問看護ステーション、介護事業所、福祉用具業者等とも密接に連携していきます。

診療内容

急性期在宅

患者さんやそのご家族から希望があった場合には、入院相当の疾患(肺炎、急性腎盂腎炎など)の治療を自宅や施設など、普段の生活の場で実施します。地域の訪問看護ステーションと連携し情報共有しながら点滴加療も実施可能で、体調変化があれば24時間の往診可能な体制を整えています。特に高齢者にとっては、入院関連廃用症候群(せん妄やADLの低下)を回避しながら入院と同等の治療を実施することができます。治療終了後は元々のかかりつけの医師へ情報提供し、その後のフォローをお願いしています。

2022~2023年のCOVID-19感染症の流行で開始した取り組みですが、2024年からは地域ケア科スタッフが増員し、そのほかの疾患にも適応を広げました。上半期で50件ほどの急性期在宅治療を実施しました。

※適応例

【疾患】
 急性腎盂腎炎、肺炎、偽通風、インフルエンザ、COVID-19….など、1日1回の点滴加療や内服治療と経過観察のみで治療可能な疾患

【背景】
 本人や家族が希望している、ADLがある程度自立している方、家族の見守り体制や自宅の環境が整っている方

訪問診療

地域ケア科の介入が必要とされる入院患者さんについて、病棟主治医から相談を受けた後にソーシャルワーカーと協同してカンファレンスを行い、退院の調整を行います。

また、悪性腫瘍をお持ちで、通院が徐々に困難になってきた患者さんの、訪問診療への調整も行っています。
その活動にあたっては地域の訪問看護ステーションや介護事業所、福祉用具業者、在宅酸素業者などとも密接に連携しています。

また、訪問診療とは別に、往診は24時間、365日対応しています。

スタッフ紹介

高山 義浩
村田 祥子
幸喜 翔
安座間 由美子
下地 遼
新村 真人

診療実績

急性期在宅件数
●2024年上半期(4~9月):54例

地域の医療施設と連携して

地域ケア科では、一緒にお仕事をさせて頂いている訪問看護ステーションやケアマネージャーやヘルパー、そして中部地区の医療機関(総合病院や訪問診療クリニック)の皆さまへお声がけをし、持ち回りでの定期的な患者の振り返りの場(急性期勉強会)を設けています。

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