救命救急科専門研修プログラム
専攻医(後期研修)/ 救命救急
プログラム紹介と教育ポリシー
中部病院のミッションは「すべての県民がいつでもどこでも安心して満足できる医療を提供する」ことです。そのための救急科研修プログラ
ムは、地域住民に救急医療へのアクセスを保証し、良質で安心な標準的医療を提供できる救急科専門医を育成することを目標にしています。
ERはその社会コミュニティを映す窓です [1] 。そのコミュニティの中には社会的弱者も大勢存在します。一人暮らしの身寄りの無い老人、
アルコール依存症の男性、共働きで夜間にしか病院にかかれない小児.. 彼ら/彼女らのセーフティネットとしての役割、
”Anyone,Anything, Anytime”という社会正義を使命とする姿がER医の根本です。
当科の強みは以下になります。
- 様々な傷病、緊急度の救急患者に、マルチタスクを行いながら適切な初期診療を行える。
→これまで研修病院の老舗として、多くの優秀な臨床医を輩出してきた確立されたシステムがあります。内科、外科、小児科などの科を問わず、いつでも、多くの重症患者を同時並行に診ていくことのできるスキル習得は当科での研修の大きな強みです。 - 他科や医療職種と連携・協力し良好なコミュニケーションのもとで診療を進めることができる。
→ER医は医学の実践だけではなく、他職種とのコミュニケーションを大事にします。ERを上手に運営するためのマネジメント能力の育成も重要視します。 - 病院前診療及び、メディカルコントロールで指導的立場になれる。
→当院はワークステーション方式のドクターカーを運用しています。また地域の消防救急隊と共同して外傷、院外心肺停止症例などの症例検討を定期的に行い、メディカルコントロールの実践を行っています。 - 災害医療において指導的立場を発揮できる。
→基幹災害拠点病院であり、DMAT隊員も4隊所属しております。これまでも熊本地震、東日本大地震の際に活動いたしました。 - 屋根瓦式教育システムを理解し、救急診療に関する教育指導が行える。
→中部病院が企業文化として培ってきた屋根瓦式教育システムをベースに成人教育を専門的に学んでいる指導医も複数おり、重点的に取り組んでいます。 - 救急診療の科学的評価や検証が行える。
→これまでBMJ誌をはじめとする高インパクトファクター医学雑誌にも毎年パブリッシュしており大きな成果を上げています。指導体制も充実しており後期研修医の先生でも相応の努力をすれば 世界標準レベルの研究ができます。 - 働き方改革を実践しています。
→24時間対応できるシフト制を採用しています。引継ぎを効果的に行うことで時間外労働を極力減らしております。大切な家族や友人との時間をとても大事にしています。 - 多様性を尊重します
→指導医の中には子育て中の女性もおりますし、教育学、統計学などの医学以外の専門領域をおさめているものもいます。また、ロードレースやベストボディジャパンなどの大会に出場して好成績を収めるなど各々が趣味にも全力で取り組んでいます。
プログラム年数
3年
取得可能な専門医資格
日本救急医学専門医
指導体制
指導責任者:豊里尚己
指導医:山口 裕、中山 由紀子、宜保 光一郎、佐久川 俊樹、岡 正二郎、長堂 嘉人、山本 一太
研修目標
専攻医のみなさんは本研修プログラムによる専門研修により、以下の能力を備えることができます。
- 様々な傷病、緊急度の救急患者に、適切な初期診療を行える。
- 複数患者の初期診療を同時に対応でき、優先度を判断できる。
- 重症患者への集中治療が行える。
- 他の診療科や医療職種と連携・協力し良好なコミュニケーションのもとで診療を進めることができる。
- 必要に応じて病院前診療を行える。
- 病院前救護のメディカルコントロールが行える。
- 災害医療において指導的立場を発揮できる。
- 屋根瓦式教育システムを理解し、救急診療に関する教育指導が行える。
- 救急診療の科学的評価や検証が行える。
- プロフェッショナリズムに基づき最新の標準的知識や技能を継続して修得し能力を維持できる。
- 救急患者の受け入れや診療に際して倫理的配慮を行える。
- 救急患者や救急診療に従事する医療者の安全を確保できる。
研修終了後の専門医取得
3年目終了後に日本救急医学専門医の取得が可能です。
卒業後の進路
ER医には多様なキャリアパスが存在します。
他科と違い、一本道ではありませんがそこが魅力の一つでもあります。
参考文献
-
[1] Salhi, Bisan A., et al. “Homelessness and emergency medicine: a review of theliterature.” Academic
Emergency Medicine 25.5 (2018): 577-593. - [2] Zink, Brian J. Anyone, anything, anytime: a history of emergency medicine. ElsevierHealth Sciences, 2005.